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ハイイールド(高利回り)債という呼び名を変えた方がいいのではないか。こんな冗談めいた議論すら持ち上がっている。信用格付けが投機的等級の企業が発行する社債で、別名「ジャンク債」。投資リスクが大きい分、利回りもかなり高いのが普通だが、足元で異変が起きている。
バークレイズが算出する米ハイイールド債の平均利回りが今週、初めて5%を下回ったのだ。2008年秋の金融危機後に20%を超えていたことを考えれば異常な利回り低下(価格上昇)といって差し支えないだろう。
背景にあるのは世界各国の金融緩和だ。官製マネーの買いあさりで長期国債の利回りは米国で1%台に低下、日本に至っては0.6%程度。運用先に困った民間投資家は押し出されるようにジャンク債に群がり、利回りを押し下げる。史上最低とはいえ、年5%の利回りを生む金融商品は今やめったにない。
「ジャンク債5%割れ」が市場の話題をさらったのは、これが資産バブルの兆しではないかと誰もが感じているからだ。何しろ、財務内容が健全ではないからこそ「投機的」の烙印(らくいん)を押された企業の社債だ。破綻や債務不履行のリスクを受け入れるのに5%という利回りは果たして十分なのか。
金融情報会社ディール・ロジックによると、1~3月の世界のハイイールド債発行額は前年同期比3割増の1545億ドルと四半期として過去最高だった。投資家の人気沸騰に乗じる形で、金融危機前によくみられた特殊な社債も復活している。元利払いを遅らせる権利を借り手側に与えるような「危ない」設計だ。こうした社債まで飛ぶように売れるのは過熱にほかならないと警戒する市場関係者は多い。
飛ぶようにといえば、今週の国際金融市場でもう一つ話題になったのがポルトガル政府が約2年ぶりに発行した10年物国債だ。30億ユーロの発行額に対して集まった買い注文は100億ユーロ超。多くが海外からだったという。
ポルトガルはなお欧州連合(EU)の支援プログラム下にあり、経済は今年もマイナス成長見通し。格付けはもちろん「投機的」だ。それでも投資家は5.7%程度という利回りの魅力に勝てなかった。サーチ・フォー・イールド(利回りを探せ)の掛け声の下ではファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を顧みる余裕はないのかもしれない。
07~08年に破裂したのは、米国のサブプライムローンを中心とした民間主導の信用バブルだった。今回は中央銀行という官が主導する半ば確信犯的な資産価格の高騰である。当局は威信にかけても破裂させないだろうと、市場参加者は安心して構えている。だがそこまで頼り切って大丈夫なのか。
あまり注目されなかったが、10日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に見逃せない一節がある。「目下の低金利環境では『利回り追求』やその他の過剰なリスクテーク活動をとりわけ綿密に監視している」「時には我々がバブルを発見できないことがあるかもしれない」
これまで資産市場がバブルではないかとの指摘をことごとく退けてきた議長が警戒モードに転じたのだとしたら、投資家も無関心ではいられない。
がらくた(ジャンク)が宝石に見える。後から考えればばかばかしいことだが、バブルとはそういうものだろう。
NQNニューヨーク・森安圭一郎
【ニューヨーク=共同】報道事業も手掛ける米金融情報サービス大手ブルームバーグは11日までに、顧客による金融情報端末の利用状況を、同社の記者が取得できる立場にあったと発表した。顧客から苦情があり、記者によるアクセスを禁止した。
ブルームバーグの情報端末は世界の金融機関で広く利用されている。米CNBCテレビなどによると、米財務省や米連邦準備理事会(FRB)は、幹部の端末利用状況が記者に見られていなかったかどうか調査を始めたという。
ブルームバーグのドクトロフ最高経営責任者(CEO)は声明で「長い間、限られた顧客関連データについて記者に利用を許していたが、間違いだった」と述べた。
米メディアによると、米金融大手ゴールドマン・サックスの幹部が最近端末を利用していないとして、ブルームバーグの記者が4月、ゴールドマンに問い合わせたことから発覚した。
ブルームバーグは、記者が知り得た情報には、顧客が読んだニュースや閲覧した株式は含まれていないとしている。
5月13日(ブルームバーグ):債券相場は大幅下落。先物は午後に一段安となり、東京証券取引所は前週末に続いて先物売買を一時停止するサーキットブレーカーを発動した。円安進行や国内株高に加えて、あす以降の国債入札に対する警戒感を背景に売りが膨らんだ。
東京先物市場で中心限月の6月物は、前週末比55銭安の143円15銭で開始し、しばらく143円台前半を中心に推移したが、午後に入って下げ幅を拡大。値幅制限となる1円安の142円70銭に達したことで、東証は午後1時41分ごろにサーキットブレーカーを発動した。解除後には一時1円5銭安の142円65銭と中心限月の日中取引で2012年4月19日以来の安値を記録。その後は下げ渋り、75銭安の142円95銭で引けた。
みずほ証券の三浦哲也チーフ債券ストラテジストは、「為替が1ドル=100円を突破して円安・ドル高が進み、ロングの投げ売りが出たもよう。日経平均株価 が1万5000円に接近し、上昇ピッチが速いこともあり、外国人投資家の売買が膨らんでいるのではないか」と説明した。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp)高い0.74%で始まり、いったん0.725%に戻した。しかし再び水準を切り上げ、一時は0.80%と2月6日以来の0.8%台に乗せた。午後3時前から0.79%で推移している。
5年物の110回債利回りは一時6.5bp高い0.34%と、新発5年債としては12年4月4日以来の高水準を記録した。20年物の144回債利回りは一時9.5bp高い1.65%と2月28日以来の高水準。30年物の38回債利回りは一時8bp高い1.785%と3月8日以来の高水準を付けた。
円安・株高で相場不安定
SMBC日興証券金融経済調査部の山田聡部長は、円安や株高進展で相場は不安定化しており、米長期金利の上昇もあってきょうも売りが優勢だと指摘した。一方、「5年債利回り の0.3%台はオーバーシュートの領域で徐々に買いが見込める」とも話した。
この日の外国為替市場でドル・円相場は一時1ドル=102円15銭と4年7カ月ぶりの円安水準を付けた。国内株式市場で日経平均株価は前週末比174円67銭高の1万4782円21銭で引けた。
財務省はあす14日、30年債入札を実施する。既発の38回債と銘柄統合されるリオープン発行で、表面利率(クーポン)は1.8%。発行額は前回債より1000億円減の5000億円程度。5月は30年債のほかに、21日に40年債、28日には20年債と超長期ゾーンの3銘柄が初めて同じ月に実施されるため、市場では警戒感が強い。
30年債入札について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニア債券ストラテジストは、「今月は流動性供給入札を含めれば6回入札が予定されており、円安・株高のめどがみえにくい現状、警戒感が広がることはやむを得ない」と分析。ただ、20年-30年債利回り格差が拡大し、30年の割高感が後退しているとし、「最終投資家にとっては入りやすい水準に調整されつつあるのではないか」とも言う。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「大分調整したので、良い金利水準に来ている」と指摘。前回入札が低調だったので慎重姿勢は強いとしながらも、「思ったよりも悪くない結果になるのではないか」とみている。
日銀がこの日実施した長期国債買い入れオペ(総額1.2兆円)の結果では、応札倍率が残存期間「3年超5年以下」と「5年超10年以下」で低下した。一方、「1年超3年以下」は買い入れ予定額が減額された影響もあって上昇した。落札金利が実勢をやや上回る水準となり、午後の債券市場で売りが膨らむ一因となった。
みずほ証の三浦氏は、買い入れオペの結果について、「若干弱い印象だ」と指摘した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/05/13 15:42 JST
さいたま市の男が隣人の女性を刺す直前に埼玉県警大宮西署で事件の可能性を予告していた問題で、県警は13日、本部の各部長ら内部の14人で構成する検討委員会が調査を進めることを明らかにした。当時の署の対応の是非や再発防止策などを検討する。
県警によると、無職佐藤武広容疑者(61)は6日午後0時15分ごろ、同署を訪れ、隣家の名字を挙げて「殺してしまうかもしれない」などと告げた。午後2時半ごろ、義兄に引き渡し、その際、「おかしなことを言っているので病院に行った方がいい」と伝えた。約2時間後、義兄から「『迷惑をかけてしまうので早く帰りたい』と言っていたので(自宅に)帰しました」と署に電話があった。その直後、女性(60)を包丁で刺したという。
佐藤容疑者は4月17日にも同署を訪れ「(女性宅から)低周波で攻撃されている」などと話したという。
県警は「警察として可能な措置をしたが、結果的に事件が発生し、被害者と家族にお見舞いを申し上げる。再発防止を図っていきたい」との談話を出した。
13日の東京株式市場で日経平均株価は続伸した。終値は前週末比174円67銭(1.20%)高の1万4782円21銭だった。2007年12月28日以来およそ5年4カ月ぶりの高値水準を回復した。円相場が一時1ドル=102円台まで下げたことを受け、株価指数先物に断続的に買いが入り、現物株への裁定買いを誘発した。自動車株や機械株、電機株の一角が買われ、銀行株や証券株の上昇も目立った。
前週末に2014年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が500億円の黒字になる見通しだと発表したパナソニックが7%高になるなど、決算による銘柄の選別物色が進んだ。午後に入り、円相場が下げ渋ると日経平均は次第に上げ幅を縮める場面があったものの、大型株への海外勢の資金流入が進み、日経平均はやや持ち直して終えた。TOPIXコア30の上昇率は約3%に達した。
一方、不動産投資信託(REIT)には売りが膨らんだ。東証REIT指数は大幅に3日続落し、4%安で終えた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。業種別では33業種中25業種が上昇。「証券商品先物」「銀行業」「その他金融業」などの値上がりが目立った。半面、「鉱業」「パルプ・紙」が下げた。
東証1部の売買代金は概算で4兆1272億円と、日銀が「異次元緩和」を決めた直後の4月5日以来およそ1カ月ぶり高水準。売買高は53億85万株。東証1部の値上がり銘柄数は全体の55%にあたる945、値下がり銘柄数は682、変わらずは86だった。
アイフル、野村、みずほFG、三井住友FGが商いを伴って上昇した。三菱UFJが時価総額10兆円を、日産自は5兆円をそれぞれ回復した。大和は節目の1000円を上回った。
一方で、東電、ケネディクス、ディーエヌエ、武田などが下げた。前週末発表の今期純利益見通しが市場予想に届かなかった住友電、国際石開帝石には売りが膨らんだ。
東証2部株価指数も続伸した。M2J、高木、日本インターが買われる一方、FDK、価値開発、ASB機械が売られた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
財務省が10日発表した4月の対外及び対内証券売買契約などの状況(指定報告機関ベース)によると、海外投資家による日本株の買越額は3兆805億円だった。買い越しは7カ月連続で、買越額は「郵政解散」時の2005年8月(2兆1027億円)を上回り、比較可能な05年1月以降で最大だった。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」への期待感から、輸出関連株を中心に買いが続いた。中長期債と短期債への投資は、ともに3カ月ぶりに買い越しに転じた。
国内投資家による海外の中長期債への投資は3カ月連続の売り越し。株式への投資は10カ月連続売り越し。年金や投資信託で利益確定目的の売りの動きが強かった。
(13時15分、2部、コード6023)大幅続伸。前場に一時、前日比90円(16.8%)高の625円まで上昇した。船舶用発電エンジンの販売を手掛ける。中小型株を中心に組み入れている人気の日本株投信「JPMザ・ジャパン」の運用会社であるJPモルガン・アセット・マネジメント(AM)が8日に提出した大量保有報告書で、ダイハツデの保有比率を4月30日までに5.91%(前回比率は開示なし)に達したことがわかった。市場では「同投信による投資を手掛かりにした買いが続いている」(国内証券)との見方が多い。
森精機(大証、6141)にも同様の買いがみられる。JPモルガンAMは保有比率を6.70%と、前回の5.09%から引き上げた。円安進行で輸出関連株に幅広く買いが入る中、森精機はひときわ強い値動きで、前場には前日比7.5%高の1305円まで上昇した。1300円台を回復したのは2008年9月末以来、約4年7カ月ぶり。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
「霞が関の介入を阻むために証券界から実力者を抜てきしたのでは」「これで斉藤さんの後任候補はあの2人に絞り込まれたということだろう」「いや、近い将来の官僚OBの天下りを想定し、傘下の取引所のトップはあえて民間から選んだバランス人事では」――。
証券界の人事スズメたちの「背景説明」や、次の人事の「読み筋」がにわかにかまびすしい。噂の矛先はもちろん、4月30日に日本取引所グループが発表したグループ首脳人事についてだ。ただ、次の人事を巡る競馬予想まがいの読み筋ばかりに気を取られていると、今回の「サプライズ人事」の本質を見誤る。より重要なのは、今回の人事によって日本の証券市場が、「世界標準」に向けて大きくギアチェンジしたことだ。そこには投資家も無視できないメッセージが隠されている。

グループ首脳人事を発表する日本取引所の斉藤惇CEO(4月30日、東証)
「取引所の仕事は日進月歩。大変なスピードで変化する技術や知識を十分吸収して将来を見通し、戦略に具体的に持ち込めるような人がトップになったほうがいい。3人ともそういう意味で能力ある方々だ」
人選を主導した斉藤惇グループ最高経営責任者(CEO、73)は4月30日の会見で、今回のグループ首脳人事の人選の理由を総括した。持ち株会社傘下の東京証券取引所社長に大和証券グループ本社の清田瞭名誉会長(68)、大阪証券取引所社長に野村証券元専務の山道裕己顧問(58)、東京証券取引所自主規制法人の理事長に元金融庁長官の佐藤隆文氏(63)の3氏を「人物本位」で選んだ点を強調した。

「人物本位」と言えばそれはそうだろうが、3氏を起用した理由はもちろんそれぞれ異なるはず。まず一番分かりやすい東証自主規制法人の人事については、2007年の同法人発足から理事長を務めてきた元財務次官の林正和氏(68)の任期満了に伴うものだ。東証内部には林氏の実直な人柄を慕う社員も多い。「林さんにはそのまま続けてもらえないか」との声も社内に多かったが、任期は同法人の定款に定められたルール。後任の人選は、林氏の出身母体である財務省と所轄官庁である金融庁に委ねられた。
東証自主規制法人の主要な業務は企業の上場審査や不公正取引の監視。金融庁や証券取引等監視委員会など金融当局と日常から連携して仕事をすることが多く、候補として名前が挙がった複数の金融庁長官出身者の中から佐藤氏に白羽の矢が立ったという次第だ。
現理事長の林氏は、持ち株会社の取締役会議長に回ることになった。これには経営執行の総責任者である斉藤CEOが、経営執行を監督する立場の取締役会の議長を実質的に兼ねるというガバナンス(企業統治)上の問題を改善するねらいがある。
取引所のガバナンスは上場企業の「模範」となるべきとの考えから、日本取引所は経営の執行機能と監督機能を分離した委員会設置会社を採用している。だが取締役会では議長として司会進行役を務める斉藤氏が「この点については代表執行役の私がお答えします」と質問者と回答者を兼ねるような場面も頻繁に出てきていた。斉藤CEOはそれまでの議長だった東芝相談役の西室泰三氏(77)が2010年に東証会長を退任した後、適任者がいないためにやむを得ず議長を務めてきた。林氏の議長就任によってようやく4年越しのガバナンス上の懸案が解消されることになったという次第だ。
もっとも、自主規制法人の人事は誰が見ても今年起きる「役所枠」の人事で、サプライズはない。市場関係者がみな驚いたのは、東証の岩熊博之社長(61)と大証の藤倉基晴社長(65)が今年1月の社長就任からわずか半年で退任し、その後任として大和の清田氏と野村の山道氏という大手証券2社の経営首脳をスカウトしたという点だった。意外に思われるかもしれないが、日本の取引所が大手証券から現役の人材を経営陣として引き抜いた例はこれまで皆無だったといっていい。
確かに「斉藤CEOこそ野村出身ではないか」という反論もあるだろう。しかし斉藤氏は「自分は野村のOBではない」というのが日ごろからの口癖だ。
1997年の総会屋への利益供与事件を受けて、野村では専務クラス以上の経営陣が総退陣。当時副社長だった斉藤氏も98年に野村を去り、住友ライフ・インベストメント社長を経て、旧産業再生機構の社長に就任した。その産業再生機構での実績を買われて07年に東証の社長へと抜てきされた斉藤氏には「野村出身という肩書には頼らずにゼロから今のキャリアを切り開いてきた」という自負がある。ある野村の現役首脳も「野村出身と呼ぶとそれは斉藤さんに対して失礼だろう」と話し、こうした認識は証券界にほぼ共通するコンセンサスにもなっている。
自らを野村出身とは思わない斉藤CEOの「独立心」が関係しているとは思わないが、これまで日本では証券界と取引所の間に大きな「溝」があったのも事実だ。
例えば東証のプロ向け市場。斉藤CEO自身が陣頭指揮をとって2009年に立ち上げた同市場は、取引所ではなく引受証券会社が上場企業を審査するのが特徴。だが、証券各社が自ら企業に上場のお墨付きを与えるリスクを取ることを嫌い、新規公開企業がなかなか増えてこなかった。
さらに2011年春に東証と大証が起死回生の市場活性化策として経営統合協議を開始した時も、大手証券首脳の多くは「取引所同士が一緒になっても市場の何が変わるのか」と冷ややかに見ていた。日本市場の魅力を売り込むために孤軍奮闘で国内外を飛び回る斉藤CEOが、あるとき周囲にこう漏らしたこともある。「野村や大和がもうちょっと助けてくれれば、少しは楽になるんだけどな」
そして今回の人事。斉藤CEOは1月1日付でそれぞれ内部から昇格させた東証の岩熊社長と大証の藤倉社長の人事は暫定的な体制と考えており、昨年の早い段階から野村と大和のそれぞれから人材を引き抜く腹を固めていたもよう。その上で今年1月に入り、清田氏と山道氏の起用をそれぞれ野村と大和の現首脳に直接掛け合ったとみられる。ちなみに「東証を大和出身者、大証を野村出身者」としたのは清田氏の方が山道氏よりも年齢や出身母体での最後の肩書が上であるという配慮があったようだ。
さらに仮に東証社長を野村出身者にしてしまうと、斉藤氏や今年7月に日本証券業協会の会長に就任予定の稲野和利氏(59)を含め証券市場の主要団体のトップを野村出身者がほぼ独占することになってしまう。「オールジャパン」の体制で証券市場の活性化にあたるには、大和の協力が絶対に不可欠だ。そこで斉藤氏は、自身と同じ債券畑で気心も知れた清田氏の名前を挙げ、大和から東証社長にエース級の人材を出してもらうよう首脳に掛け合ったとみられる。
翻って世界ではどうか。NYSEユーロネクストのダンカン・ニーダーアウアーCEOはゴールドマン・サックス出身、ロンドン証券取引所のザビエル・ロレットCEOはリーマン・ブラザーズ出身、香港取引所のチャールズ・リーCEOはJPモルガン出身……。世界の主要取引所ではマーケットとテクノロジーを熟知した証券会社の出身者がトップを務め、取引所と現地の証券会社が一体となって世界の投資家や企業に向けて市場の魅力を発信するというのが当たり前の景色。今回の首脳人事で、日本取引所もそうした世界の主要取引所と競争するためのスタートラインにようやく立ったともいえる。
「いまの活況は、ひとえに安倍さんと黒田さんがつくってくれたもの。我々の努力でなし遂げたものではないということを忘れるなよ」。斉藤CEOは今、口を酸っぱくして取引所社内でこう繰り返している。連日3兆円前後の水準に膨らんだ東証1部出来高をはやして1月4日の東証の上場初値(3740円)からわずか4カ月で約3倍まで急騰した日本取引所の株価について「株価を見ると、複雑な気持ちになる」と周囲に漏らしたこともある。
斉藤氏に言わせれば、今の日本市場の復活はひとえにアベノミクスという「上からの革命」がもたらしたもの。だがそこに対する期待が永久には続かないとすれば、取引所と証券界が一丸となって市場の魅力を高める「下からの革命」がいずれ必要になるはず。今回の人事はそのための舞台づくりというのが斉藤CEOの偽らざる本心に違いない。良質な上場企業を誘致したり海外との提携戦略を加速させたりするなど、国内外の投資家をひき付けるためにすべきことは数多い。新布陣はこうした取引所改革の第一歩となるか。「ポスト斉藤」の行方をうんぬんと取り沙汰するのは、下からの革命の成否が見え始めてからでもいいだろう。
株式会社WOWOW、株式会社スター・チャンネル、スカパーJSAT株式会社の3社は9日、有料放送を無料で視聴できるように不正に改ざんしたB-CASカードを第三者に譲渡したなどの行為で、不正競争防止法などの罪で有罪判決が確定した2人に対して、損害賠償の支払いを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起した。また、B-CASカードの所有者である株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズも2人に対して、9日付で同様の訴訟を東京地方裁判所に提起した。
訴訟を提起した相手は、東京都内在住の37歳男性と44歳男性の2人。不正競争防止法違反および不法行為に基づく、合計339万6529円の損害賠償の支払いを求めている。
37歳の男性は、B-CASカードの不正改ざんプログラムをインターネット経由で不特定多数の者に提供したほか、自らもB-CASカードを改ざんして有料方法を不正に視聴したなどして、2012年10月に京都地方裁判所で不正競争防止法違反などの罪で執行猶予付きの懲役2年の有罪判決を受け、既に判決が確定している。
44歳の男性は、「BLACKCASカード」と呼ばれる不正改ざんカードをインターネットオークションで6枚販売したほか、自らも不正改ざんカードを使って有料放送を不正に視聴したなどして、2012年10月に京都地方裁判所で不正競争防止法違反などの罪で執行猶予付き2年の有罪判決を受け、既に判決が確定している。
WOWOW、スター・チャンネル、スカパーJASTの3社は、B-CASカードの改ざん、譲渡という行為は有料多チャンネル放送全体の健全な普及拡大に甚大な影響を与えるものであり、悪質かつ許されざる行為と考え、東京地方裁判所に提訴したと説明。37歳男性には162万4348円、44歳男性には177万2181円の損害賠償の支払いを求めている。
3社は今後も、有料放送サービスの不正視聴にまつわる行為については、有料放送の公正な視聴の観点から厳正に対処していくとしている。
1972年に日本外務省は「尖閣諸島の領有権についての基本的見解」を発表し「尖閣諸島は我が国の領土たる南西諸島の一部を構成している。また、明治28年5月発効の馬関条約(下関条約)第2条に基づき我が国が清国(清朝)より割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれていない」と主張した。これはいわゆる日本が釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領有権を有しているとの根拠の1つとなった。だが事実は果たして本当にそうなのだろうか?(文:張海鵬・中国社会科学院学部委員、李国強・中国社会科学院中国辺彊史地研究センター研究員)
一、馬関条約及びその第2条に関して
馬関条約第2条第1項、第3項は遼東半島と澎湖諸島の地理的範囲を明確に定義している。ではなぜ「台湾全島及び其の附属諸島嶼」についてのみ記述を曖昧にしたのか?日本側の公開した馬関条約関連の交渉議事録の記述から、日本政府が条約で台湾の附属島嶼の処理を曖昧に処理した魂胆が見えてくる。
1895年6月2日に「台湾受け渡しに関する公文」に署名する前、台湾の附属諸島嶼がどの島嶼を含むのかが双方の討論の焦点となった。当時の日本の水野弁理公使と清政府の李経方全権委員との間の討論の摘要が日本の公文書館に保管されており、濱川今日子著『尖閣諸島の領有をめぐる論点』に見える。会談で李は日本が後日、福建省付近に散在する島嶼も台湾附属島嶼と見なして領有権を主張することを懸念し、台湾所属島嶼に含まれる島嶼の名を目録に挙げるべきではないかと尋ねた。水野は「島嶼名を列挙すれば、脱漏したものや無名の島があった場合の問題を避けがたく、日中いずれにも属さないことになり不都合だ。台湾の附属島嶼はすでに海図や地図などにおいて公認されており、台湾と福建との間には澎湖列島の『横はり』があることから、日本政府が福建省付近の島嶼を台湾所属島嶼と見なすことは決してない」と応答した。日本側の姿勢表明に鑑み、李も逐一名を挙げずに処理することに同意した。
水野の発言は、日本政府が台湾の附属島嶼についてすでに公認の海図や地図があることを認めていたため、台湾受け渡しに関する公文に釣魚島列島を列挙する必要はなかったことを示している。この点から見て、日本政府は事実上釣魚島列島が台湾の附属島嶼であることを認めていたのである。なぜなら、釣魚島列島は公認の海図や地図で早くから中国に属すことが明記されていたからである。また、この対話は馬関条約署名の3カ月前に日本政府が閣議で釣魚島を秘密裏に沖縄県に編入した事実を隠す意図が、会談の日本政府代表である水野にあったことも示している。
1885年から1895年までの10年間、沖縄県は「国標」を建立することで釣魚島を管轄範囲に組み入れようと企て続けた。だが日本政府は釣魚島が「清国に属している」ことに鑑み、「国標」を建立すれば清国の警戒と争いを引き起こすことを恐れ、ずっと許可しなかった。甲午戦争(日清戦争)の勝利が目前となった時、日本政府は釣魚島列島を奪い取る時機が到来したと感じ、1895年1月14日の閣議で、沖縄県知事の上申に照らして島を沖縄県の所轄とし、標杭の建設を認める決定を秘密裏に行った。だが実際には沖縄県が釣魚島に標杭を直ちに建設することはなかった。井上清教授によると、1969年5月5日になってようやく沖縄県石垣市が長方形の石の標杭を建立した。日本の閣議のこの決定は秘密文書であり、57年後の1962年3月に『日本外交文書』第23巻で対外的に公表された。それまで清政府および国際社会は全く経緯を知らなかった。
つまり日本政府は長い間、釣魚島の領有権を公に主張しなかったのである。明治天皇は1896年3月の勅令第13号「沖縄県ノ郡編制ニ関スル件」において、釣魚島を明確に組み入れていない。だがこの勅令は日本側によって釣魚島の領有権を有する根拠の1つと見なされており、明らかに世界の人々を欺くものだ。
日本が釣魚島を「盗み取った」のは決して「平和的方法」によるものではない。近代植民地主義侵略の産物であり、甲午戦争での日本の戦略の一環なのである。中国侵略戦争の勝利を確信したからこそ、日本の内閣は釣魚島を掠め取り、続いて不平等な馬関条約が出現した。そしてまさに馬関条約を通じて、日本はいわゆる条約の形で、釣魚島を「盗み取る」行為の「合法化」を果たしたのである。この歴史過程は明らかで間違いがなく、歴史学者の共通認識である。
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株式時価総額が世界最大の米アップルが4月30日に米市場で募集した社債は、日本市場でも注目を集めた。同社が生み出した数々の革新的な商品の名前にちなんで「iBond(アイボンド)」と市場で呼ばれる社債は、非金融企業で過去最大級となっただけでなく、様々な点で日本の常識では測れない起債となったからだ。
社債は6種類で、発行総額は170億ドル(1兆6600億円)にのぼった。日本市場では2011年3月に起債したパナソニックの総額5000億円が最大。月間の社債発行総額でみても最高は2兆2905億円(2009年6月)で、それもトヨタ、NTTといった日本を代表する企業を含む約40社の合計額だから、桁違いの大きさだ。
応募額は発行額の3倍に当たる500億ドル以上に達し、応募者利回りの米国債利回りなどに対する上乗せ幅は当初の想定を下回ったという。ダウ・ジョーンズ通信によると、投資家の旺盛な需要を反映し、5月1日の流通市場で上乗せ幅は縮小した。
格付けは米格付け会社2社からダブルAプラスを取得し、年限構成は変動金利が3年物(10億ドル)、5年物(20億ドル)の2種類、固定金利が3年物(15億ドル)、5年物(40億ドル)、10年物(55億ドル)、30年物(30億ドル)の4種類。国内生命保険の債券運用担当者は「IT(情報技術)企業は10年債でも手を出しにくい」と話す。IT産業は商品サイクルが短く、国際競争も激しいため、浮き沈みが大きいからだ。
日本企業では、この1年間だけでもパナソニック、ソニー、シャープが複数回にわたって格下げされた。実際、アップルも1996年12月に共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏が復帰し、98年に「i」で始まる最初の商品となったパソコン「iMac(アイマック)」を投入するまでは経営危機に直面していた。経営再建を主導したジョブズ氏は11年に亡くなり、現在は成長に陰りがみえている。
15年までの総額で1000億ドルを予定する株主配分策の資金に充てるという使途も驚きを与えた。社債の投資家からみると、購入時に払い込んだ資金は、アップルの事業に貢献することなく、そのまま株主に渡る形になる。
アップルが保有する1450億ドルの手元流動性の大半が海外にあり、米国に送金する際に課される税金を回避するために社債の発行で賄うというから、実際は収益への寄与がゼロではない。米メディアの報道によると、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、アップルの社債発行による節税額は92億ドルとの試算を示した。
米社債市場は多様な投資家が集まり、満期保有を前提とした投資家が中心の日本市場と違って流通市場での売買も活発で、格付けが「投機的」とされるダブルB以下の「ジャンク債」も発行されている。日本市場からみれば「規格外」のアップルの起債は、米市場の懐の深さを映しているとも言える。
一方で、中央銀行による大量の資金供給によって社債利回りの国債利回りに対する上乗せ幅が極端に縮小する「クレジットバブル」が警戒されるのは日米で共通する。カネ余りがアップルに潜むリスクを覆い隠したとすれば、いずれ反動は避けられない。〔日経QUICKニュース(NQN) 伊藤和之〕
[6日 ロイター] 米ソフトウエア大手アドビ・システムズ(ADBE.O: 株価, 企業情報, レポート)は6日、主力のソフトウェア・パッケージ「クリエイティブスイート」の最新版について、今後はサブスクリプション(定額制)サービスの「クリエイティブクラウド」を通じてのみ入手可能になると発表した。
クリエイティブクラウドのシニア・マーケティング・ディレクター、スコット・モリス氏は6日開催した年次会合で「アドビは100%クリエイティブクラウドに移行する」とし、クリエイティブクラウドの最新版は6月17日以降、定額制サービスの加入者のみが利用可能になると説明した。
2012年5月(訂正)に発売された「クリエイティブスイート6」は、「フォトショップ」や「イラストレイター」「フラッシュ」など、総合的なマルチメディア・デザインソフトを組み込んだ統合パッケージとなっていた。
クリエイティブクラウドの利用料金は、月極プランで月額74.99ドル、年間契約では月額49.99ドル。
クリエイティブスイート6「マスター・コレクション」の価格は2599ドルだった。
従来のパッケージ製品販売に比べ、定額制モデルでは利用金額が長期間にわたり支払われることから、初期段階における収益は低いものの、安定的かつ継続的な収入を確保できる。
クラウドベースの定額制サービスは、米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)やセールズフォース・ドット・コム(CRM.N: 株価, 企業情報, レポート)、ネットスイート(N.N: 株価, 企業情報, レポート)などが先駆け、アドビもこの動きに追随する格好となった。